2021-01-01から1年間の記事一覧

「自分を律する」ということ

確か岩城宏之のエッセイだったと思うのだが(これを機に出展を探したのだが見つけられなかったので記憶で書きます)、こんなエピソードを読んだことがある。 岩城がある日、知り合いのある高名なヴァイオリニストを自分の演奏会に招待しようとチケットを渡した…

管につける薬はない ~終幕

管総理が唐突に「総裁選不出馬」という形で辞意を表明した。 直前まで延命のためにあがきにあがいてきたが、遂に万策尽きて政権を手放さざるを得ない状況に追い込まれたらしい。 ここまできたら、総選挙やった上で現職総理自ら落選して総理の座から強制退去…

ギャグとシリアスの狭間で ~みなもと太郎氏を心から悼む

相変わらず、いや今までにも増して猛威を振るう新型コロナウイルスの感染拡大の中、またひとり千葉真一という昭和の大スターをこの世から失い、その死亡記事を新聞で読んでいたところ、ふと隅っこの方で小さく囲まれた訃報が目に入ってはるかに強い衝撃を受…

アトヴミャーンの功績 ~ショスタコ万華鏡(2)

レヴォン アトヴミャーン――その名に聞き覚えがある人は、よっぽどのショスタコマニアに限られるだろう。 その名前はショスタコーヴィチの作品リストと眺めているとあちらこちらで目につくのだが、だがしかしこのアトヴミャーンという男、どういう人だったの…

至高のヴィオラソナタ ~ショスタコ万華鏡(1)

いきなり素っ気ないピッツィカートの音型でそれは始まった。一見単純この上ないのになぜか奇妙な浮遊感があり、程なくピアノの不思議な和音が加わることによってその浮遊感はますます際立っていく。どこに向かうのか分からないまま心の根っこから引き釣りこ…

十字架上の最後の七つの言葉

自分はキリスト教徒ではない。というかイエス キリストの生涯を鑑みても、いわゆるひとつの、世界中に流布する神話と同等の価値しかどうしても見いだせないのだ。この中で語られるイエスが起こした数々の"奇蹟"、これらにしても「実際はどういう事柄だったも…

それでもオリンピックを開催するのか

本当に、本当に信じがたいことだが、東京オリンピックが強行開催されようとしている。 世論調査をすれば毎回確実に過半数が中止を選択するし、国際的にもあちこちから中止の声が上がっている中、それでも日本政府も東京都も、まるで最初からそんなこと念頭に…

今こそ兼好法師に学べ

新型コロナ(COVID-19)感染者数がここにきて下げ悩んでいる。 年明け早々に発令された2度目の緊急事態宣言から間もなく2ヶ月、さすがに一時の爆発的拡大は影を潜めて長い下降傾向を示しており、宣言下のうち関西・中部・福岡では本日限りの前倒し解除が決定…

昔と今とで呼び方が変わった言葉

新型コロナの蔓延によって閉塞した状況を劇的に変えてくれるかもしれないワクチン接種がいよいよ日本でも始まった。もちろん「変異種にも効くのだろうか」「順調に接種が進むのだろうか」といった懸念事項もまだまだ多いが、そんな中ニュースでもちょっと聞…

最強の加湿器

今回のコロナ禍のおかげでマスクやアルコール消毒液などいろんなものが今までにないほど注目を集めた(イソジンは一瞬で消えたな)が、その中のひとつとしてこの冬、加湿器にも注目が集まっている。 冬の低温がコロナウイルスを活性化することはかなり前から言…

コロナ禍でのニューイヤーコンサート

今年も元日にウィーンフィルのニューイヤーコンサートが無事開催された。 もっともこの世界的なコロナ禍の中、いつも通りに開催することは到底無理な話で、結局史上初の無観客開催となった。ただ金銭的に見れば、世界中の90もの国や地域に配信され、さらには…