クラシック音楽

いつまでも あると思うな パイパーズ

管楽器専門誌「PIPERS」が、今年3月の通刊500号をもって休刊すると発表した。 この報せは正直唐突で、強い衝撃を受けたが、一方で「しかたないのかな」とも思った。 PIPERSはかなり特殊な雑誌である。木管および金管楽器に特化した内容で、正直一般の人の間…

ザンクトフローリアン効果

ブルックナーの音楽は人によって好き嫌いがはっきりしているようで、受け入れられない人にとっては頑としてどこがいいか分からないらしい。「面白くない」「魅力が感じられない」とはっきり言う人もいる一方、最上の音楽としてあがめ奉る人もいる。なんとい…

アトヴミャーンの功績 ~ショスタコ万華鏡(2)

レヴォン アトヴミャーン――その名に聞き覚えがある人は、よっぽどのショスタコマニアに限られるだろう。 その名前はショスタコーヴィチの作品リストと眺めているとあちらこちらで目につくのだが、だがしかしこのアトヴミャーンという男、どういう人だったの…

至高のヴィオラソナタ ~ショスタコ万華鏡(1)

いきなり素っ気ないピッツィカートの音型でそれは始まった。一見単純この上ないのになぜか奇妙な浮遊感があり、程なくピアノの不思議な和音が加わることによってその浮遊感はますます際立っていく。どこに向かうのか分からないまま心の根っこから引き釣りこ…

十字架上の最後の七つの言葉

自分はキリスト教徒ではない。というかイエス キリストの生涯を鑑みても、いわゆるひとつの、世界中に流布する神話と同等の価値しかどうしても見いだせないのだ。この中で語られるイエスが起こした数々の"奇蹟"、これらにしても「実際はどういう事柄だったも…

コロナ禍でのニューイヤーコンサート

今年も元日にウィーンフィルのニューイヤーコンサートが無事開催された。 もっともこの世界的なコロナ禍の中、いつも通りに開催することは到底無理な話で、結局史上初の無観客開催となった。ただ金銭的に見れば、世界中の90もの国や地域に配信され、さらには…

木管五重奏随想

「もしハイドンが弦楽四重奏にかけた労力の10分の1でいい、木管五重奏のために割いていてくれたら…」こんな歴史のifを何度思ったことだろう。 定期的に木管アンサンブルをやり始めて気がつくと早10数年。演奏会が終わって「次は何やるか」を考える度に、木…

「芸能人格付けチェック」 音楽編考

「芸能人格付けチェック」(TV朝日)。実はこの番組、ここ数年元日の楽しみになっている。毎回出される問題はすべて2択(稀にに3択)で、すべて「どっちが高いか」のシンプルなもの。しかしその見極めは難しい。いつもよくTVに出てくる芸能人だって、もち…

シューベルトの交響曲第9番ははたして「グレイト」か?

シューベルトの交響曲について7番と8番をこのブログで立て続けに取り上げたけども、やはりそうなると次には9番について触れないわけにはいかない、という気がしてきた。この曲についてもいろいろ思う事があるけども、それは今までとは違ってちょっと複雑…

底知れない音楽 ~シューベルト 交響曲第8番「未完成」

数か月前に新聞広告で知ったのだけど、昭和21年の2月に広島でシューベルトの「未完成」が演奏されたという記録が残っているのだそうだ。場所は焼け残った高校の講堂で、演奏者もどうやら寄せ集めだったようだが、あのおぞましい原爆投下からまだ半年しか経…

シューベルトの交響曲第7番、は…

先日、所属しているアマオケでシューベルトの「未完成」交響曲を演奏したのだが、チラシやプログラムにその番号が「第7番」と書かれているのを見る度に、心の片隅に違和感を覚えるのがどうしても避けられなかった。 ある年齢以上の人ならば分かるだろうけど…

新垣 隆の新作交響曲「連祷」を聴いて

あの"新垣 隆"が新作を、それも交響曲を発表し、しかもそれがDECCAからCDが発売されると聞けばさすがに気になってしまい、どんな曲だろうと思わず買ってしまった。 新垣 隆という作曲家、まぁ僕も他の人と同様、一昨年の一連のゴーストライター騒ぎの際に…

レニングラードフィルとサンクトペテルブルクフィル

先日NHKで放送されたテルミカーノフ/サンクトペテルブルクフィルの演奏するショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」を聴いて、なんとも複雑な気持ちになった。 僕がクラシックを聴きはじめた中学時代、レニングラードフィルとと言えば"泣く…