忘れられた危険

 今日ふと気になった事がある。近頃は覚醒剤大麻、危険ドラッグなどのニュースが横行しすぎて、「シンナー中毒」というものをめっきり耳にしなくなってるな、と。
 自分が学生の頃といったら、"麻薬"なんてものはせいぜいTVの刑事もので出てくるぐらいで、身近にあるこの手の危険物といってまず真っ先に上がるのがシンナーだったものだが…。"アンパン"なる隠語のもと、吸うと「脳が溶ける」とか強烈な脅し文句でその危険性がアピールされていた。

 まぁ、それ自体普通にホームセンター等で買えるものであり、所持してたって違法でもなんでもないものだから上記のような本物の違法薬物の前では影が薄くなったってしょうがない。しかし、シンナーの危険性自体は昔も今も変わっていないはずだ。
 おそらく今の学生にはスネークマンショーの「シンナーに気をつけろ!」を聞かせてもまったく意味が通じないだろう。しかしだからこそ、その危険性を知らずにいつのまにかどっぷり浸かっているなんてことがないだろうか――。

 その危険性を知らないからといってなくなった訳ではない。知らないからこそ却って危険なものに触れた時に障壁なく飛び込んでしまう新たな危険を孕んでいるのだと思う。