点鬼簿2017
今年の初め、ふと逝去した有名人を書き留める、いわゆる点鬼簿を作ってみようと思い立った。
TVや新聞のニュースで「え!この人が…」と思う事は多い。しかし悲しいかな日々の出来事の中でそれは次第に埋もれていってしまう。終いには時間が経って「えーと、この人って、死んだんだっけ?」なんて事もしばしば。それがなんか申し訳なくって、せめて思い出せるようにと記録することにしたのだ。
それから1年、記録の一覧をここに転記してみる。
○2017/1/3 神山(こうやま) 繁(俳優 享年87 死因:肺炎)
○2017/1/4 ジョルジュ プレートル(指揮者 享年92)
マリア カラスのお気に入り。ニューイヤーコンサートにも2回出場。
○2017/1/21 松方 弘樹(俳優 享年74 死因:悪性脳リンパ腫)
東映やくざ映画の中心人物。晩年はマグロ釣りでも有名に。
○2017/1/25 藤村 俊二(俳優 享年82 死因:心不全)
おひょいさん。元は振付師だったと今回初めて知った。
○2017/1/31 時天空 慶晃(元力士 享年37 死因:悪性リンパ腫)
元はモンゴル人。最高位小結。現間垣親方。
○2017/2/3 三浦 朱門(小説家 享年91 死因:間質性肺炎)
第三の新人の生き残り。妻は曽野綾子。
○2017/2/9 佐藤 さとる(童話作家 享年88 死因:心不全)
日本ファンタジー小説の第1人者。コロボックルシリーズ他。
○2017/2/12 谷口 ジロー(マンガ家 享年69 死因:多臓器不全)
「『坊ちゃん』の時代」「犬を飼う」「孤独のグルメ」…。
○2017/2/13 鈴木 清順(映画監督 享年93 死因:慢性閉塞性肺疾患)
「ツィゴイネルワイゼン」など
○2017/2/13 金 正男(キム ジョンナム)(享年45 死因:暗殺(毒殺))
金正日の長男、金正恩の異母兄。なのに…。
○2017/2/16 船村 徹(作曲家 享年84 死因:心不全)
「別れの一本杉」「王将」など。
○2017/2/16 ディック ブルーナ(絵本作家 享年89 死因:老衰)
ミッフィーの生みの親
○2017/2/21 スタニスワフ スクロヴァチェフスキ(指揮者 享年93 死因:脳梗塞)
ミスター"S"と呼ばれた名指揮者。
○2017/3/1 かまやつ ひろし(歌手 享年78 死因:膵臓がん)
ムッシュかまやつ。「我が良き友よ」「やつらの足音のバラード」
○2017/3/5 クルト モル(歌手(バス) (享年78)
70~80年代を代表するバス歌手。
○2017/3/14 渡瀬 恒彦(俳優 享年72 死因:胆嚢がん(多臓器不全))
「捜査9係」「おみやさん」「タクシードライバー」…。名優逝く。
○2017/4/5 大岡 信(詩人 享年86 死因:誤嚥性肺炎)
「折々の歌」
○2017/4/6 京 唄子(漫才師・タレント 享年89 死因:肺炎)
鳳啓助との名コンビを始め、晩年は女優としても活躍。
○2017/4/12 ペギー 葉山(歌手 享年83 死因:肺炎)
「南国土佐を後にして」。「ドレミの歌」の日本語詞作詞。
○2017/4/17 渡部 昇一(文筆家 享年86 死因:心不全)
「知的生活の方法」他。僕に最も影響を与えた人。
○2017/4/23 三遊亭 円歌(落語家 享年88 死因:結腸がんによる腸閉塞)
「山のあな、あな、あな」
○2017/5/3 月丘 夢路(女優 享年95 死因:肺炎)
朝丘夢路と混同する人多数。
○2017/5/15 日下 武史(俳優 享年86 死因:誤嚥性肺炎)
劇団四季創設メンバー
○2017/5/21 与謝野 馨(政治家 享年78 死因:咽頭がん)
数々の大臣を歴任。
○2017/5/23 ロジャー ムーア(俳優 享年89 死因:がん)
3代目ジェームス ボンド。
○2017/5/31 イルジー ビエロフラーヴェク(指揮者 享年71 死因:がん)
チェコフィル首席指揮者。
○2017/5/31 杉本 苑子(小説家 享年91 死因:老衰)
女流ながら骨太の歴史小説家。
○2017/6/2 ジェフリー テイト(指揮者 享年74 死因:心臓発作)
内田光子とのモーツァルトのピアノ協奏曲で名を成す。
○2017/6/13 野際 陽子(女優 享年81 死因:肺腺がん)
「キーハンター」、後に名姑女優に。
○2017/6/22 小林 麻央(元アナウンサー 享年34 死因:乳がん)
市川海老蔵夫人。姉は小林麻耶。
○2017/7/1 上田 利治(元野球選手・監督 享年80 死因:肺炎)
阪急ブレーブス最強時代の名監督。
○2017/7/2 榎本 俊夫(元田中角栄秘書 享年91 死因:老衰)
ロッキード事件丸紅ルートの主要人物。奥方に「蜂の一刺し」される。
○2017/7/11 砂川 啓介(俳優 享年80 死因:尿管がん)
大山のぶ代の夫。認知症の妻を残し…。
○2017/7/18 日野原 重明(医師 享年105 死因:呼吸不全)
聖路加病院名誉院長。日本最年長現役医師。
○2017/7/21 平尾 昌晃(作曲家 享年79 死因:肺炎)
元ロカビリー御三家にして昭和のヒットメーカー。
○2017/7/22 エルンスト オッテンザマー(クラリネット奏者 享年61 死因:急性心不全)
ウィーンフィル首席クラリネッティスト。2人の息子も奏者に。
○2017/7/24 犬養 道子(評論家 享年96 死因:老衰)
犬養毅の孫。
○2017/7/24 山川 啓介(作詞家 享年72 肺がん)
「太陽がくれた季節」「聖母たちのララバイ」他
○2017/8/7 中島 春雄(俳優 享年88 死因:肺炎)
スーツアクター。初代「ゴジラ」俳優。
○2017/8/10 阿部 進(教育評論家 享年87 死因:胃がん)
カバゴン先生
○2017/8/16 ピーター ミルワード(英文学者 享年91 死因:多臓器不全)
上智大学名誉教授。長らく日本で教鞭を取り、著書多数。
○2017/8/20 ジェリー ルイス(コメディアン 享年91 死因:老衰)
1950~60年代に一世を風靡したコメディアン。
○2017/8/20 羽田 孜(政治家 享年82 死因:老衰)
1994年、第80代総理大臣に。
○2017/9/27 ヒュー ヘフナー(実業家 享年91 死因:老衰)
プレイボーイ創業者。
○2017/9/29 槐(さいかち) 柳二(声優 享年89 死因:鬱血性心不全)
「赤毛のアン」のマシュウ・レレレのおじさんからショッカー怪人まで。
○2017/10/25 遠藤 賢司(歌手 享年70 死因:胃がん)
日本のフォーク黎明期の代表の一人。代表作「カレーライス」
○2017/10/26 篠沢 秀夫(フランス文学者 享年84 死因:筋萎縮性側索硬化症)
クイズダービーの篠沢教授。学習院大名誉教授
○2017/11/16 鶴 ひろみ(声優 享年57 死因:大動脈剥離)
ぺリーヌ・美神玲子他。首都高車中で急死。
○2017/12/2 はしだ のりひこ(歌手 享年72 パーキンソン病)
元フォークル。その後も「風」「花嫁」などのヒット曲。
○2017/12/6 海老一 染之助(曲芸師 享年83 死因:肺炎)
兄 染太郎と共に兄弟曲芸師として人気を博す。
○2017/12/8 野村 沙知代(タレント 享年85 死因:虚血性心不全)
野村克也夫人にて稀代のお騒がせ女。
○2017/12/11 チャールズ ジェンキンス(享年77 死因:致死性不整脈)
拉致被害者 曽我ひとみさんの夫。自身も拉致から解放され日本に。
○2017/12/16 早坂 暁(脚本家 享年88 死因:腹部大動脈瘤破裂)
代表作「夢千代日記」他。TVドラマの黎明期から支えた名脚本家。
こうしてみると、ここしばらく名前を聞かなかった方もいれば、直前まで現役バリバリで活躍していた人もいる。僕が子供の頃から親しんでいた芸能人などは、毎年少なからず鬼籍に入っていくのだが、享年を見ていけば「そういう歳なんだな」と実感してしまう。おひょいさんなど「歳とったらこんな風になりたいな」と密かに憧れていただけにすごい喪失感があった。芸能人ではないが篠沢教授も、長く患っていたことは知っていたが、遂に…という想いが強い。カバゴン先生は、僕が子供の頃、今でいえば尾木ママに匹敵する存在感を持っていた人。今年までご健在だったとは不覚にも知りませんでした。
個人的に存在感が大きかったのは渡部昇一。「知的生活の方法」は高校時代に出会って以来、文字通り「座右の書」として折に触れて読み返し、自分の考え方に多大な影響を受けてきた。政治思想的には彼の論旨に首肯できない所も多々あったが、それでも思わず理解はできてしまうほどすさまじい説得力があった。最近まで天皇退位問題で意見を上奏する(一貫して「摂政を置きさえすれば退位する必要はない」と退位に否定的な意見だったが)など健在な所を見せていただけに、訃報に接した時は驚いた。
その他も、ここに列記したのは、少なくとも僕の心に何らかの引っ掛かりを残してくれた人たちばかりです。ご冥福をお祈りいたします。