マンガ

ギャグとシリアスの狭間で ~みなもと太郎氏を心から悼む

相変わらず、いや今までにも増して猛威を振るう新型コロナウイルスの感染拡大の中、またひとり千葉真一という昭和の大スターをこの世から失い、その死亡記事を新聞で読んでいたところ、ふと隅っこの方で小さく囲まれた訃報が目に入ってはるかに強い衝撃を受…

哀悼 吾妻ひでお

「えっ…」 その訃報を知った時、仕事中にもかかわらず、しばらく意識が遠のいてしまった。 まさか…。いや、到底長生きができないような身体だというのは承知していたが、ほんの少し前に「不条理日記 完全版」(復刊ドットコム)を入手して往年の大傑作を改めて…

モンキー パンチ氏を悼む

びっくりした。 モンキー パンチ氏の訃報を聞いて最初にしたリアクションがこれだった。もちろん既にかなりの高齢であり、最近は作品を発表することもめっきりなくなっていた事は認識していたのですが、たまたま現在「週刊漫画アクション」創刊期を描いたド…

手塚治虫は死なず!

元号が平成に変わったばかりの2月10日、なにげなく朝刊を開いた途端憶えのない衝撃が走った。 手塚治虫死す! その訃報が目に飛び込んできた時の感興はなんとも言い難い。ただなんというか、生まれてこのかたいつも必ずあったはずの精神的支柱がいきなり消…

或るニョーボの死まで~須賀原洋行『天国ニョーボ』

よしえサンが亡くなった――それを知った時の衝撃は今でも忘れられない。気がつくともうあれから5年以上の歳月が経っているというのに、なんだかついこの間のような気がしてしょうがないのだ。たとえ直接面識がなくとも、長年敬愛していた人の死は哀しいもの…

不遇な作品に突如訪れた僥倖~桜沢 鈴「義母と娘のブルース」

桜沢 鈴(さくらざわ りん)というマンガ家を知っている人はいったいどれぐらいいるんだろうか。 僕の中では、前に追悼記事を書いた三好 銀と並んで「誰も知らないかもしれないけど個人的には激押し」という位置づけの人だったんだけども、追っかけ続けている…

佐村河内 守を擁護する気はさらさらない、だが…~吉本浩二「淋しいのはアンタだけじゃない」

物心ついた時には「鉄腕アトム」があり、小学生時代に「ブラックジャック」の連載にリアルタイムで接していた世代ということもあって、手塚治虫作品は今もなお自分にとって特別な存在であり続けている。そんなだからこそ数年前に「ブラックジャック創作秘話…

 天才"傍流"マンガ家の限界~岡崎二郎「ビフォー60」

岡崎二郎の名前は一般にはどれだけ知られているだろうか? 一部コアなファンからは「マンガ界の星新一」「藤子・F・不二雄の正統な後継者」と称されるまでに高い評価を維持し続けているのだが、おそらくその名を聞いて「ああ、あの…」と分かる人は相当マニ…

哀悼 三好 銀

来月発売されるマンガの新刊をチェックしていて"三好 銀"の名前を見つけ、「おお、久々に新刊が出るのか」と喜んだのもつかの間、「追悼作品集」の文字が目に入って硬直した。 え…三好 銀って――亡くなったの? あわてて検索してみると、今年の8月末、膵臓が…

緩慢な悲劇~ヤマシタトモコ「花井沢町公民館便り」

子供の頃にはちょっとありえなかったことだけども、最近は新聞でもマンガの書評が定期的に載るようになった。知ってる作品が取り上げられていればどんなふうに書かれてるかついしげしげと見てしまうのだが、こういうのに執筆している人はちょっと斜に構えて…