いつまでも あると思うな パイパーズ

管楽器専門誌「PIPERS」が、今年3月の通刊500号をもって休刊すると発表した。 この報せは正直唐突で、強い衝撃を受けたが、一方で「しかたないのかな」とも思った。 PIPERSはかなり特殊な雑誌である。木管および金管楽器に特化した内容で、正直一般の人の間…

ザンクトフローリアン効果

ブルックナーの音楽は人によって好き嫌いがはっきりしているようで、受け入れられない人にとっては頑としてどこがいいか分からないらしい。「面白くない」「魅力が感じられない」とはっきり言う人もいる一方、最上の音楽としてあがめ奉る人もいる。なんとい…

安倍元総理襲撃事件に思う

きのう発生した安倍元総理が奈良で選挙応援演説中に襲撃されて命を失った事件は、ほんと近年の日本ではほとんど聞いたことがなかった「要人の暗殺」という生々しい事実をいきなり突きつけられてほんと衝撃を与えたが、それ故についつい考えてしまうことがい…

「自分を律する」ということ

確か岩城宏之のエッセイだったと思うのだが(これを機に出展を探したのだが見つけられなかったので記憶で書きます)、こんなエピソードを読んだことがある。 岩城がある日、知り合いのある高名なヴァイオリニストを自分の演奏会に招待しようとチケットを渡した…

管につける薬はない ~終幕

管総理が唐突に「総裁選不出馬」という形で辞意を表明した。 直前まで延命のためにあがきにあがいてきたが、遂に万策尽きて政権を手放さざるを得ない状況に追い込まれたらしい。 ここまできたら、総選挙やった上で現職総理自ら落選して総理の座から強制退去…

ギャグとシリアスの狭間で ~みなもと太郎氏を心から悼む

相変わらず、いや今までにも増して猛威を振るう新型コロナウイルスの感染拡大の中、またひとり千葉真一という昭和の大スターをこの世から失い、その死亡記事を新聞で読んでいたところ、ふと隅っこの方で小さく囲まれた訃報が目に入ってはるかに強い衝撃を受…

アトヴミャーンの功績 ~ショスタコ万華鏡(2)

レヴォン アトヴミャーン――その名に聞き覚えがある人は、よっぽどのショスタコマニアに限られるだろう。 その名前はショスタコーヴィチの作品リストと眺めているとあちらこちらで目につくのだが、だがしかしこのアトヴミャーンという男、どういう人だったの…

至高のヴィオラソナタ ~ショスタコ万華鏡(1)

いきなり素っ気ないピッツィカートの音型でそれは始まった。一見単純この上ないのになぜか奇妙な浮遊感があり、程なくピアノの不思議な和音が加わることによってその浮遊感はますます際立っていく。どこに向かうのか分からないまま心の根っこから引き釣りこ…

十字架上の最後の七つの言葉

自分はキリスト教徒ではない。というかイエス キリストの生涯を鑑みても、いわゆるひとつの、世界中に流布する神話と同等の価値しかどうしても見いだせないのだ。この中で語られるイエスが起こした数々の"奇蹟"、これらにしても「実際はどういう事柄だったも…

それでもオリンピックを開催するのか

本当に、本当に信じがたいことだが、東京オリンピックが強行開催されようとしている。 世論調査をすれば毎回確実に過半数が中止を選択するし、国際的にもあちこちから中止の声が上がっている中、それでも日本政府も東京都も、まるで最初からそんなこと念頭に…

今こそ兼好法師に学べ

新型コロナ(COVID-19)感染者数がここにきて下げ悩んでいる。 年明け早々に発令された2度目の緊急事態宣言から間もなく2ヶ月、さすがに一時の爆発的拡大は影を潜めて長い下降傾向を示しており、宣言下のうち関西・中部・福岡では本日限りの前倒し解除が決定…

昔と今とで呼び方が変わった言葉

新型コロナの蔓延によって閉塞した状況を劇的に変えてくれるかもしれないワクチン接種がいよいよ日本でも始まった。もちろん「変異種にも効くのだろうか」「順調に接種が進むのだろうか」といった懸念事項もまだまだ多いが、そんな中ニュースでもちょっと聞…

最強の加湿器

今回のコロナ禍のおかげでマスクやアルコール消毒液などいろんなものが今までにないほど注目を集めた(イソジンは一瞬で消えたな)が、その中のひとつとしてこの冬、加湿器にも注目が集まっている。 冬の低温がコロナウイルスを活性化することはかなり前から言…

コロナ禍でのニューイヤーコンサート

今年も元日にウィーンフィルのニューイヤーコンサートが無事開催された。 もっともこの世界的なコロナ禍の中、いつも通りに開催することは到底無理な話で、結局史上初の無観客開催となった。ただ金銭的に見れば、世界中の90もの国や地域に配信され、さらには…

二律背反

明日、それでも初詣に行こうとする人はいったいどれぐらいいるのだろうか。 もちろん、このような時だからこそ神仏に詣でて祈願したい、という気持ちも分かる。痛いほど分かるけども、結局それは感染リスクを自ら上げる行為に他ならない。 最近の風潮で腹立…

管につける薬はない

逆に問いたい。いったいこの期に及んでいかなる理由でGoToキャンペーンを続けようという考えになるのか。

気がつけばそばにいた~筒美京平の音楽

筒美京平が亡くなった…と聞いてもその時は特に感慨はなかった。 そういえば最近とんと名前を聞かなかったなぁ…そんな感じで、80歳、そんな年だったのか、との事実をただ飲み込んだだけだった。 しかし以降TVでは彼の作曲した歌の数々のついて取り上げる特…

トランプと陰謀論

トランプが悪あがきを続けている。 長くかかったアメリカ大統領選も、どうやらバイデンの勝利がほぼ確定的になった。 それにしても「負けを知らない男」トランプは決してそれを認めようとはせず、「開票に不正があった」として法廷闘争に持ち込もうとしてい…

トランプは劇薬である。

劇薬だって状況によっては有効に作用する事もあるだろう。しかし常用し続ければいずれとんでもないことになる。

"スター"のまばゆさ ~山口百恵ラストコンサートを観て

'70年代に少年期を過ごした自分にとって、山口百恵は特別な存在感を持っていた。 別段ファンだったわけではない。コンサートはもちろんレコード(当時)を買ったこともなく、ただ単にTVに出てるのを観ていた程度だが、なのに年を重ねるごとに芸能界での存在…

原因と結果を取り違えてないか?

その猛威をまったく衰えさせる気配を見せない新型コロナウイルス(COVID-19)。おそらく今年の新語・流行語大賞は「3密」「クラスター」「アベノマスク」といったコロナ関連の用語が大半を占めるだろうなとか、「今年の漢字」はきっとコロナ禍の「禍」になる…

「総合的に判断」と言う名の無判断

要は為政者の胸先三寸ですべて決まってしまう。

こういう出口の見えない、息の詰まりそうな時だからこそ

自分に心地いい説にはつい飛びついてしまいそうになる、という危険が満ち溢れている。

これはアジモフとはいえないな~映画「アイ, ロボット」

コロナ禍のおかげで最近は家にいることが多く、休みの日などTVに向かう時間が格段に増えた。で、そんな時、以前録画して(いつか観よう)とそのままになっている映画をこの機会にちゃんと観る機会も出てきて、徐々にHDに空きが増えて行った。 そうして観た…

一条の光?

「BCGが新型コロナウイルスの予防に一役買っているかもしれない」 そんなニュースを聞いて非常に心強いものを感じた。僕の住んでいる東京はきのうと今日と2日続けてコロナ感染者が100人以上を数え、遂に累計感染者は1,000人を突破した。こんな出口の見え…

エイプリルフールネタかと…

現在、全世界を席巻している新型コロナウイルスに関して僕は何も言う事が出来ない。最初のうちはそれほど重大だとは思っていなかった。しかし状況がどんどんめまぐるしく変わっていく様に追われて自分の素人考えなどは後から後から吹き飛んでしまい、今から…

さようなら、ノムさん

「就職お願いします!」 今から10年余り前、楽天がクライマックスシリーズのファイナルステージで敗退し初の日本シリーズ進出の希望を断たれた試合直後のインタビューで野村監督(当時)は第一声にこう言い放った。辞める気なんかさらさらないぞ、と言わんばか…

ドイツクラリネットの"音"の変遷

ウルフ ローデンホイザー・ザビーネ マイヤー・アロイス ブラントホーファー。 この3人の名前を並べて「ははぁ」と思う人は…まずいないと思うけども、もしいたとしたら嬉しい。この3人は、1970年代から90年代初頭にかけて、カラヤン時代のベルリンフィル後…

史上空前のM-1

お笑いは好きでよく観ているが、その中でも特に楽しみにしているのは毎年12月に行われているM-1グランプリ(TV朝日)だ。この成功を受けて各局が次々とR-1グランプリ(フジTV)・キングオブコント(TBS)・The W(日本TV)といった年1回のお笑い大…

木管五重奏随想

「もしハイドンが弦楽四重奏にかけた労力の10分の1でいい、木管五重奏のために割いていてくれたら…」こんな歴史のifを何度思ったことだろう。 定期的に木管アンサンブルをやり始めて気がつくと早10数年。演奏会が終わって「次は何やるか」を考える度に、木…